松下萌子はどこへゆく。

id:dolphi:20050503でチラッと上戸彩の話題が出ましたが。彼女は1997年の第7回全日本国民的美少女コンテスト出身なのです。といってもグランプリではなく審査員特別賞でした。グランプリは須藤温子だったのですが、最近ではテレビで彼女を見かける機会がめっきり少なくなってしまった様に感じます。どうしているのでしょう。ファンサイトなどを見る限りでは映画など、まだ元気に活動しているみたいではあるのですが。まだまだ再評価されて良い人材なのではないかと思います。売り出し方がやや「早すぎた」感があったように思います。むぅ。
ところで、その時「マルチメディア賞」を受賞したのが松下萌子なのです。「マルチメディア賞」という賞がどういう意義を持って設定されたのかはよく記憶していませんが、以前やっていたドキュメント番組の朧気な記憶を辿れば、アイドルというよりはどちらかというとアーティスト色の強い人材を発掘するために設けられた賞であったように記憶しています。ちなみに、ドキュメント番組はこの年の全日本国民的美少女コンテストの内容を追ったものでしたが、松下萌子がメインに据えられて構成されていたかどうかは覚えていません。多分そうであったと思うのですが…。思い当たる番組ご存じの方、ご教授下さい。
僕が松下萌子を知ったのは確かそのドキュメント番組が最初だったかと思うのですが、その時は特に強烈な印象もなかったので、特段何事もなく月日は過ぎていきました。少しして、彼女を再認識することになったのが、2nd Single『雨あがり』でした。*1 CDTVだったか何だったか、それ系の深夜音楽番組で流れていたのを聞いてだったと思いますが、この曲が非常に良い曲なのです。無論「いい曲」というのは個人の主観的な判断ですからあくまで「僕としては」という限定がつくのですが、それにしてもやはりいい曲だと思うのです。聞いたことが無い方はぜひ聞いてみてくださいな。
『雨あがり』はオリコンでも結構上位まで行き(確か20位以内には入ったような?)、「マルチメディア賞」受賞に相応しいステップだと思っていました。ところが、どうしたことかこの『雨あがり』以降(『雨あがり』のプロモーションも決して満足なものではなかったのですが)、松下萌子のアーティスト活動はどーも下火になっているというか、物足りなさ全開の様相を呈している気がしてなりません。ホームページのDiscographyを見る限りではその後もシングルを出していたり、元Z-1の根食真美とライブを行ったりと活動はしている様なのですが、どうもその活動がこちらに見えてきません。『雨あがり』以降のシングルでは斉藤由貴森高千里などいわゆる「ビッグネーム」の作品をカヴァーしたりしています。
別にこれらのカヴァー曲が悪いとかそういう事を言いたいのではないのですが、こういう「過去のヒット曲をカヴァーして…」という考えはどうにもコスい気がしてなりません。出す曲出す曲がどれもカヴァー曲であるなら、ちょっと豪華なカラオケとさして変わらないのではないでしょうか。そしてそのアーティストの「色」というものは出ないと思うわけです。*2 また、結局話題になっているのは「カヴァーした」という事の方であって、その様な売り出し方と言うのは、言い方は悪いですがむしろ自分を「添え物」的な存在にしてしまう自殺行為の様な気がしてなりません。
無論、それは別に彼女たち本人が悪いと言うことではなくてそのようなプロモーション戦略を取る事務所の責任ではあるのですが。むしろそういった意味では彼女たちは「被害者」なのでしょう。プロモーションも人間のやることですから間違いはあってしかるべきなのだと思うのですが、しかしそれにしてもこのパターンは安易に繰り返されすぎていると思います。
松下萌子も結局、アーティストなのか、アイドルなのか、タレントなのか、女優なのか、どっちつかずの中途半端な存在になってしまっている様な気がしてなりません。全日本国民的美少女コンテストがハイライトになってしまってはいけないはずです。そこがスタートラインにならなければいけないはずです。力量・素質は十二分にあるのですから。

*1:asin:B00005LP81 今までずっとこれがデビューシングルだと思ってました。この前に『夏色』asin:B00005HY3A っていうシングル出してるんですねー。知らなかった。今度聞いてみます。

*2:カヴァー作品でもそのアーティストの「色」は出る、という方もいると思うのですが、結局それは元あった「色」に寄りかかったものでしかないと思います。その元となる「色」が毎回変わってしまった時、そのアーティストを通しての「色」を問うた場合に、その「色」は混乱を内包せざるを得ないと思います。